【’25年度版】神奈川県公立高校の志願変更制度について解説<公立高校入試Q&A>
いよいよ今週23日(木)より、公立高校の出願がスタートします。
神奈川県の公立高校入試では、出願後に一度だけ志願変更ができる制度があります。昨年2024年度入試では3,698名がこの制度を使って志願先を変更しました。
出願締切後に判明する各高校の倍率や、自分の現状の得点力などから、改めて合格可能性を検討し、志願変更するケースが少なくありません。
この記事では、志願変更の可能性を考えている方に向け、手続きの流れと注意点をまとめました。
▼出願~合格発表まで全体の流れはこちら
志願変更のスケジュール
*2025年(令和7年)度入試の場合
- 高校への出願期間…1/23(木)~1/29(水)正午
- 各高校の出願後倍率判明…1/30(木)
神奈川県のホームページ「記者発表」へ掲載(記者発表終了後) - 志願変更期間…2/4(火)~2/6(木)正午
※志願者数の発表について
2/4・5・6は、各高校のホームページで公開されます(午後7時頃までに掲載)。
2/7は神奈川県のホームページ「記者発表」へ掲載されます(記者発表終了後)。
1/30(木)の出願後倍率発表を参考に検討し、志願変更を希望する場合は、2/4(火)~2/6(木)正午の期間で申請を行うという流れです。
志願変更の手順・流れ
’24年度入試より、申請がWEBで完結するように
2023年度入試までは、志願変更をする場合「中学校で書類を受け取った後、変更前の高校に行って書類を受け取り、さらに変更先の高校に行って書類を提出…」と、受験生にとって負担の大きい手続きでした。
しかし、昨年度(2024年度)の入試からはWEBでの申請に。受験生は高校に出向くことなく、出願サイト上での操作だけで志願変更ができるようになりました。
ただし、手続きには中学校側の許可や確認・承認が必要です。事前に手続きの流れを確認しておきましょう。
手続きの流れ
※詳細は出願サイト上部から閲覧できる志願者用マニュアルをご確認ください。
【受験生】担任に志願変更を申し出る
↓
【中学校】担任がシステム上で「志願変更許可」
↓
【受験生】志願変更内容を入力、申請
↓
【受験生】受検料納付(差額納付や再納付の必要がある場合のみ)
↓
【中学校】担任が志願情報を確認
↓
【中学校】校長が承認(高校に情報が送信される)
※受験生の申請手続き締切は2月6日(木)正午、中学校長の承認締切は翌日7日(金)正午です。
申請前に、担任の先生によるシステム上での許可が必要
受験生の志願変更の手続き期間は、2/4(火)~2/6(木)正午の2日半。
出願期間と比べるとタイトな日程です。
受験生側が入力・申請作業をするには、志願変更期間中の2/4(火)午前0時以降に、担任の先生にシステム上で「志願変更許可」の操作をしてもらう必要があります。
志願変更を決断したら、すぐ担任の先生に伝えましょう。
志願変更の検討について
「志願変更期間中の倍率発表」は参考にできる?
志願変更の申請受付中の2月4日・5日には、各高校から、当日午後4時現在の志願者数※が発表されます。
※各高校のホームページへ午後7時ごろまでに掲載。
WEB出願導入前(2023年度まで)は、志願変更の手続きが「受験生が高校へ出向き、直接書類を提出する」というものだったため、その日に手続きをした受験生の数が、当日発表の志願者数にそのまま反映されていました。
そこで、志願変更に迷っている生徒は「志願変更1日目や2日目の発表を参考に、全体の動向を見てから最終決定する」という作戦が可能でした。
しかし、昨年度より導入されたWEB手続きでは、受験生が申請をした後に「担任の確認」「中学校長の承認」「高校での確認」が必要です。受験生が「志願変更をしよう」と申請をしても、その日のうちに中学校・高校での確認・承認を終え、高校に受理されるとは限りません。
よって、各日の発表から、志願変更のリアルな動向を確認できるとは限らない状況になりました。
参考までに、昨年2024年度(WEBでの志願変更導入初年度)は、志願変更1日目、2日目発表時点での志願者数の変動が、過去年度と比べて著しく少なくなっています。
2月4日・5日時点の志願者数発表は、こうした状況に留意した上でご覧いただくといいかと思います。
<参考>2023年度、2024年度の志願変更期間中の志願者数推移(前日からの増減)を比較(一部の高校抜粋)
高校名 | 年度 | 1日目 | 2日目 | 志願変更終了時 |
---|---|---|---|---|
湘南 | ’23 | -57 | -45 | 0 |
’24 | -11 | -30 | -29 | |
横浜翠嵐 | ’23 | -50 | -33 | 0 |
’24 | -1 | -28 | -27 | |
横浜緑ケ丘 | ’23 | -59 | -25 | 0 |
’24 | -3 | -14 | -28 | |
秦野 | ’23 | +13 | +12 | +1 |
’24 | +5 | +22 | +30 |
中学校から志願変更の決断を急かされる/止められる場合は?
上記の通り、志願変更の期間は、県教育委員会が2/4(火)~2/6(木)正午の2日半と定めています。
しかし、昨年度は一部の中学校で、志願変更について県が定めた正規の日程よりも前に締め切られる、先生から「志願変更は初日しか受け付けない」と言われる、「志願変更はできるだけやめてほしい」と言われる…といったケースがありました。
この件については、2024年7月にステップが県教育委員会を訪問した際、「志願変更の申請期間中であれば、生徒・ご家庭はいつ申請をしても問題ない」とのご回答をいただいています。
*詳細はこちらの記事をご覧ください…2025年度 神奈川県公立高校入試 中学校による恣意的な制限をなくするために
万が一、中学校の先生から志願変更の決断を急かされることがあった場合、
もし受験校に迷いがあるなら「悩んでいるため家族でも話し合って〇日に決めたいので、それまでお待ちください」とはっきり伝えましょう。県が定めた期間内であれば何ら問題はなく、当然のことです。
またこうした対応について、担任や進路担当の先生に相談して改善いただくのが難しい場合は、市町村や県の教育委員会に具体的に伝えるといいでしょう。
実際、昨年度、入試手続きに関する制約について教育委員会に相談し、翌日に中学校と話したところ、柔軟な対応に変わったという例もありました。
*詳しくはこちら…(出願や志願変更について)中学校の対応で困ることがあれば…
その他の注意点
「志願変更の取りやめ」はできる?
志願変更の手続きが完了した(高校へ送信された)後は、志願変更を取り消すことはできません。
その前の段階で取りやめたい場合は…
・担任の先生に「志願変更許可」の操作をしてもらったものの、「やっぱり志願変更はしない(当初出願した高校を受験する)」と決めた場合は、受験生が出願サイト上で「志願変更の取りやめ」を行います。
・「志願変更の申請を行ったが、中学側の確認や承認が終わっていない」という段階で志願変更を取りやめる場合、「志願変更情報の削除」をする必要があります。
これらの操作を行わないと、受検票のダウンロード・印刷(2/11(火)~)ができないため、ご注意ください。
受検料の再納付が必要な場合も
県立・市立間の変更、通信制→定時制への志願変更などの場合は、受検料の再納付(または差額の納付)が必要です。出願サイトに再納付の画面が表示されるので、出願の際と同じ手順で入金を行います。入金を行わないと志願変更手続きが完了できないので、気をつけましょう。
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動画でわかる 高校入試Q&A
学習塾ステップ公式YouTubeチャンネルで、「高校入試、ここが知りたい!」と題し、神奈川県の公立高校入試や、私立高校入試についてよくあるご質問にお答えしています。ぜひご覧ください。
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