【中学生・国語】「冬期講習の読解問題で、心に残った文章は?」中2生からの感想を紹介します
ステップの講習で取り上げる文章は、問題文を選ぶことから始まります。
まず、文章の選定にあたる担当者が「これは」という作品の中から文章を選びます。
次に、その著者の方に、文章を使用させていただくよう許諾のお願いをいたします。
そして許可を頂けた文章をもとに、教材研究部のスタッフが作問を行います。
こうしてできあがったテキストに、参加したみなさんが「いい文章に出会えてよかった」と言ってくれたら、時間をかけて取り組んだ甲斐があるというものです。
そこで、講習の全日程が終わった後には、多くのスクールで「どの作品が一番心に残ったか」というアンケートを実施しています。
今回は、2020年度の冬期講習で取り上げた文章について、中2生から寄せられた感想をご紹介します。
今回紹介する作品
- さだまさし『ちゃんぽん食べたかっ!』
- 三浦しをん『風が強く吹いている』
- O・ヘンリ『よみがえった改心』
- 濱野京子『その角を曲がれば』
- 司馬遼太郎『司馬遼太郎が考えたこと8』
- 有川浩『阪急電車』
- 額賀澪『風に恋う』
さだまさし『ちゃんぽん食べたかっ!』
- 自分が持っている唯一の得意なこと、周りから認められているものを失ったらいったい自分には何が残るのか、そんなことを考えてしまう話でした。周りの人に自分の才能が認められている主人公みたいに、何か一つでも手に入れられるようがんばりたいと思いました。
- 将来の不安に負けないようにもがく姿はすごいと思った。
- 自分も部活をやめたいと思ったことがあって、でも部活をやめたら他に何があるんだろうと思ったことがあり、共感して読めた。
- 今の自分とこの文章がすごく重なって、いろんなことを考えさせられた。
- 自分自身を励ましながら毎日生活する「僕」はすごい。父親が悲しそうにする場面が印象に残った。
- さだまさしという人物は、「関白宣言」など現在でも人気がある有名な歌手なのに、迷っていた時期があったということにびっくり。
- 決意を認めてくれた父、苦しみながらの主人公の決断、本当にこのままやめてしまうのか読みながら気になった。
- 続けることはいいことだけど、やめることは決してよくないことではないのだと思った。
- 自分もそろそろ部活動をやめなければいけない時期になるので、その後に後悔のないように、今全力で部活をしたいと思った。
中学進学と同時に、ヴァイオリンのプロを目指し東京で下宿生活を始めた「僕」だったが、都立高校音楽科への受験に失敗し、授業料の高い私立高校へ進学。実家が経済的に厳しいこと、さらに自分のヴァイオリンの才能に疑問を抱くようになったことから、音大受験の夢を諦めかけ、将来の不安におしつぶされそうになっていた。
夏休みに実家に帰った「僕」は、ある日父と二人きりに。「ヴァイオリン、やめてもいいかな?」と話をすると、思いもかけない言葉が返ってきて…。
三浦しをん『風が強く吹いている』
- 走っているときのつらさが伝わってきた。読んでいると自分も走っているような気分になった。
- 話が進んでいくにつれて主人公の考え方が著しく変化をしていくのがわかり、生々しい表現の仕方が非常に魅力的だった。
- このお話を読んでからお正月の箱根駅伝を見たら「神童さん」と同じようにがんばる選手がたくさんいて、みんな同じ思いなんだろうなと思った。一生懸命戦う選手の姿はかっこいいと思った。
- 箱根駅伝は走っている人をただ応援しているだけだったが、走っている人のその思いや、それまでの経験がいろいろあって、来年はさらに楽しんで見られそうな気がした。
- 高熱でも仲間のために走る神童さんに心をうばわれました!
- 自分もスポーツマンとして、神童さんから強さを学べた。
- 「強い」という言葉にはたくさんの意味があるんだなと思った。
- 箱根駅伝を選手目線で書いていて、今までとは違う感動を得ることができた。
- スポーツを通して仲間に伝えたい思いを伝えるというのがとても印象に残った。
- 授業でやった後、アニメ版を見た。駅伝の時期でもあったのでとても興味を持てた。
- 自分も陸上部だからとても共感できたし、学んだこともあった。気絶寸前の状態でみんなのために走る姿が印象的だった。
- 記録がすべてではなく、どれだけ努力して、どんなコンディションで走るのか、どこまで頑張ったのかが大切ということに気付かされた。
- 順位よりも仲間を考えていたり、走る選手の気持ちによりそっているところに感動した。目立っている大学だけでなく、どの大学にもストーリーがあるんだと思った。
- 神童を見て走の気持ちが変わるところや、仲間の気持ちを考えて謝った神童が印象的でした。
- 家で箱根駅伝を見ているときに思い出して熱い気持ちになった。
箱根駅伝に挑む大学生たちの青春を描いた長編小説。
冬期講習で取り上げたのは、箱根駅伝当日・最大の難所と言われる五区の山上りのシーン。五区の走者・神童はひどい風邪で高熱を出していた。彼の走りを、チームメイトの走はゴール地点の特設ビジョンから見守っている。気絶寸前の状態で必死に走り続ける姿を見て、走は「神童さんは強い」と認めざるをえなかった。
O・ヘンリ『よみがえった改心』
腕利きの金庫破りだったジミイは、小さな田舎町エルモアで銀行経営者の娘・アナベルに恋をし、ラルフと名前を変えて靴屋を開業した。
一年後…心を入れ替えて地道に暮らしたおかげで商売は繁盛し、愛するアナベルとはもうすぐ結婚することに。一方、彼を追ってエルモアにやってきた探偵ベンは、ひそかにジミイの動きを観察していた。
そんなある日、アナベルの姉の幼い娘が金庫に閉じこめられてしまう。人々がパニックにおちいる中、ジミイのとった行動とは…。
- 読んでいて緊張感があり、自分がそこにいるみたいだった。もっと読みたいと思った。スピード感があって読んでいてドキドキした。
- 登場人物が多いのも印象的だったが、その登場人物全員が心優しくて、最後にすっきりとした気持ちになれたので良かった。
- 人生の今後を左右する話で、最後どうなるのかわくわくしながら読んでいた。文章にひきこまれた。
- とてもラストがかっこよく、印象に残りました。本当によかったので本を買いました。
- ドラマみたいな話の展開がおもしろかった。
- ジミイの優しさをひしひしと感じられた。ふだん読まないジャンルだったので新鮮だった。読んでいてワクワクした!
- しっかり反省し、改心して人助けするのが印象に残った。同一人物なのに違う人である、という世界観が好き。
- アナベルから花をもらったところが、どこか悲しい感じがしてよかったです。
- 人は何らかのきっかけで別人のように変わることができるということを感じました。
- ラルフがジミイに戻ったときの態度や台詞がかっこよかった。
- 最後の探偵の一言がとても印象的だった。
- 自分の幸せより人のことを思って決断したジミィは心が強くて優しい人だと思った。
- 愛する人よりも小さな子供の生死をとって…というのがよかった。
- 自分の人生を棒にふっても誰かを助けようとする姿に感動した。また、最後の場面を読んで「優しさは人にこんなにも影響を与えるのか」と思った。
- 謎を解いている探偵のような気分になれた。
- これを機にO・ヘンリの他作品を読んでみたいと思った。
濱野京子『その角を曲がれば』
受験生の「私(杏)」は、友人の真由子と親友の美香との関係について悩みを抱えていた。
そんなある日、家に帰ってから、「私」は小学3年生のある日のことを思い出す。友達とけんかして帰った幼い「私」に、母は何も聞かずにコーヒーを出してくれた。
- お母さんが悩んでいるときにそっとコーヒーを淹れてくれるところが優しくていいなと思った。
- 悩みを抱えている杏に母はコーヒーを差し出し、気になっていない風にしながらも、杏が悩みを抱えていることをすぐに気づく大人の様子や、かっこよさがとても好きです。
- 自分自身も昔お母さんにこんな風にしてもらったことを思い出した。私も「この人!」という友達に縛られずに、みんなと仲良くしていこうと思えた。
- 親は何も言わないが、いつも自分を考えてくれているのだと知った。家族の優しさ、家の温かさがよかった。
- 「コーヒー入りのミルク」という表現が好き。
- 主人公を自分に置き換えるとすごく共感できた。私もお母さんに支えられているのだなと思えてとてもよかった。
- 親というのは見ていないところでしっかりと見ているんだと感じた。
- 母の気遣いの描写がよく伝わってきた。
- ふだん話していない高校についてお母さんはしっかり分かってくれていたという点で、杏のお母さんはいい人だと思いました。
- 何も言わずにそっと接する母親にあこがれを持ちました。
- 自分も友人関係で悩んだことがあったので、共感できた。
- あまり関わらないという母のやさしさがあるのだと知った。
- 母が私の母そっくりなので想像しやすく、温かい気持ちになりました。最後まで読んでみたいと思いました。
司馬遼太郎『司馬遼太郎が考えたこと8』
- 歴史上に名前が残っている人の背景には陰ながら手伝っていたり、救っていたりした人がいたと知り、歴史上の人物に対する考え方が変わった。
- 筆者の意見に共感した。僕はアニメや漫画だと一見目立たないキャラを推すタイプなので。様々なところに目を向けるのは大切なことだと思った。
- 私は歴史が好きなので、問題を解きながら「なるほど!」と思う部分がたくさんあった。いろんな人の支えがあるからこそ、人は輝けるということを実感した文章だった。
- 「たしかに」と共感することができました。歴史に名を残していなくてもとてもすごいこと、いいことをした人は所郁太郎さん以外にもたくさんいるのだろうなと思いました。
- 人は必ず誰かに支えられ、助けてもらっているから生きていけるんだと思った。
- 主役にならずとも主役を支えている人がいて、一人ひとりに物語があるんだなと思った。
- こういう人たちについて調べてみるのもおもしろそうと思いました。
- 脇役にも大切な役割があるというところが印象に残った。
- 歴史を深く探るとおもしろいと思った。
歴史小説家のエッセイ集より。授業で取り上げたのは『無名の人』という文章。
筆者は書斎で調べものをしているときに思わぬ人物を目にとめることがある。歴史上では脇役にすらならない人物でも、いくつかの資料でその人物を見つけたり、経歴を知るにつれ、筆者の中ではその人物が生き生きと動き出す。時代は幕末、井上聞多(後の井上馨)の命を救った「所郁太郎」も、その一人である。
有川浩『阪急電車』
女子大生のミサが電車に座って発車時刻を待っていると、あつかましい態度で席取りをする女性グループが現れた。ミサは腹を立てながら、中学時代の出来事を思い出していた。
中学時代のミサは、いつものように電車の座席にカバンをおいて、後から来る友達の席をとっていた。すると、目の前のおじいさんにいきなり大きな声で怒鳴られてしまい…
- 当時の自分は“良い”と思っていたことが、あるきっかけから“良くない”ことだと気付いたときに感じた恥ずかしさが描かれていて、自分も同じような経験があったので、思い返すことができました。
- 公共のマナーの大切さを教えてくれたおじいさんはかっこいい! みんながいる中で大声で怒れるのはすごい。自分自身も日々気を付けようと思った。
- 私も電車に荷物を置いたことがあったので「あっ!」と思った。他人は注意をしないが、陰ではいろいろ思っているのだ、よくないことをしたなと思いました。とても勉強になりました。
- 周りの人に迷惑をかけてしまっていることが意外とあることに気付いたし、考えさせられた。自分を見直すきっかけになった。
- 注意されることは自分にとって大切なことだし、そこから学べることがたくさんあると思った。
- 自分はいいと思うことも、周りから見たら迷惑だというときもあるから、行動するときは気を付けたい。
- 改めてマナーの大切さを学べた。自分も似たようなことをしたことがあるから、気を付けたいと思った。
- 一番自分にとって身近に感じられて、どんどん引きこまれていった。
- 身近にありそうな話だからこそ、印象に残った。
- みんなが使うもののルールやマナーをしっかり守ることの大切さを改めて感じた。
- こうすればよいというような教訓を得られる、このような文章をもっと読みたい。
- 自分は悪いことをしていないと思っていても、ほかの人には非常識に感じられることがもっともっとあるのではないかと感じた。
額賀澪『風に恋う』
- 自分が吹奏楽部だから読みやすかった。『宝島』の曲の部分は非常に共感できた。続きが気になる…。
- 近い未来に自分が同じような経験をする姿が浮かんだ。リアルで印象に残った。
- 私も吹奏楽部で、高校は強豪校に入って全国に行って…と思っていたけれど、少し諦めかけているので共感しました。
- 今、自分が高校に入ってから今の部活を続けるか迷っているから、すごく共感できた。
- 私も吹奏楽部なので楽しく読むことができました。この話で使われていた言葉もいい表現だなと思いました。
- 音を言葉で表現していてすごいなと感じました。
- 僕も野球を辞めようと思ったことがあるからよくわかった。
- これが序章ということに驚き。続きが気になる。
- 玲於奈との関係が気になった。
- 主人公を応援したくなった。
中3の基は吹奏楽に打ち込むものの、全日本コンクールに一度も出場できずに卒業を迎えようとしていた。進学先はかつて吹奏楽の強豪だった高校だが、基はすでに吹奏楽への情熱を失いつつあった。
冬期講習で取り上げたのは、3月上旬、基たち中3生が最後の演奏をする定期演奏会の場面。基の最後のステージは、吹奏楽では定番中の定番である『宝島』。
定期演奏会の後、基は進学先の吹奏楽部の先輩・玲於奈と一緒に帰る。玲於奈は基に、高校でも吹奏楽を続けたらいいのにと言い続けていたが…。
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