東京と神奈川の私立高校入試制度の違いは?【私立高校入試Q&A】
私立高校を選ぶにあたって、東京都と神奈川県、両方の高校を候補にしている方も多いと思います。
東京都と神奈川県の私立入試制度は、推薦・併願入試における内申基準や事前の入試相談など、大枠は似ているものの、異なる点も。
今回は、特に併願(おさえの高校を受験する)制度である、東京都の「併願優遇」と、神奈川県の「併願確約」の違いを中心に解説します。
※この記事は、2023年1月公開の動画「<神奈川県私立高校入試>神奈川と東京の違い(高校入試、ここが知りたい! 私立編その2)」のテキスト版です。
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東京・神奈川の選抜方法はどう違う?
神奈川県の私立高校の入試方式は、大きく分けて推薦・専願・併願(併願確約)・オープン型入試の4パターン。
推薦・専願・併願確約では、学校の内申点を基準に合否が内定。受験生が、あらかじめ受験することを中学校に伝え、中学・高校間で内申基準を満たしているかを確認し(入試相談)、合否が内定するという流れです(入試得点勝負のオープン型では入試相談はなし)。
東京都の場合も、推薦や併願で入試相談を行う流れは同様。異なるのは以下の点です。
東京と神奈川の私立高校入試の違い
- 神奈川では、推薦(専願)・併願は内申等の基準のみで合格確約をいただける(一部例外あり)。東京都では(実質)確約のパターンもあれば、異なる場合も。
- 使用する内申点について。神奈川の私立高校入試では、中2内申と中3内申の両方を使う場合、中3内申のみを使う場合の2タイプがある。
東京都では、中3内申のみを使用する。
(*公立入試では、神奈川県立は中2・中3内申の両方、東京都立は中3内申のみを使う) - 東京では、すべての高校でオープン型(内申点が関係なく、入試当日の得点のみで合否が決まる)入試が設定されている。
併願優遇(東京)と併願確約(神奈川)の違い
第一志望校のおさえとして受験する併願制度は、東京は「併願優遇」、神奈川は「併願確約」と呼びます。
神奈川の併願確約は、高校が定めた内申点等の基準を満たせば、合格が決まります。
東京の併願優遇も、高校が定めた内申点等の基準があり、中高間で入試相談が行われます。
多くの高校は、神奈川と同様、これを満たせば実質的に合格です。ただし、一部の高校では当日点の基準を設けています。
例えば朋優学院高校(品川区)では、内申基準を満たしていても、入試で130点(300点満点)がとれなければ不合格となります。
一方、オープン入試での合格点は160点(2023年度入試)ですから、内申基準で文字通り「優遇」を受けられる制度といえます。
また、帝京大学高校(八王子市)、東京農業大学第一高校(世田谷区)など、内申基準を満たした生徒に一定の加点をする高校も。この場合も、加点後の点数次第で合否が決まります。
併願優遇と併願確約は併用できる?
東京都の併願優遇と神奈川県の併願確約は、形式的には併用できないことになっています。神奈川県では「入試相談をできるのは1校まで」という取り決めがあるからです。
とはいえ、併用しても私立高校側はそれを確認することができません。そのため、朋優学院など併願優遇でも不合格が出る高校については、中学校の先生が併用を認めてくださる場合があります。つまり、神奈川の併願確約校と朋優学院の両方に、入試相談をしてくださるということです。
ただし、これはその中学校が生徒本位に考えて運用していることであり、取り決めに忠実な対応をする中学校も多くありますのでご注意ください。
動画でわかる 高校入試Q&A
学習塾ステップ公式YouTubeチャンネルで、「高校入試、ここが知りたい!」と題し、神奈川県の公立高校入試や、私立高校入試についてよくあるご質問にお答えしています。ぜひご覧ください。
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