神奈川県 
私立高校入試の仕組み

ステップの公式YouTubeチャンネルでは、
<神奈川県>私立高校入試、ここが知りたい!」を配信しております。

神奈川県 私立高校入試の概要

神奈川県の私立高校の多くは、入試得点だけで合否判定が行われるわけではなく、内申点を基準とした選抜を行っています。

私立高校の入試形態には、大きく分けて2種類あります。

  1. 内申点で決まる
    「推薦入試」「書類選考」「単願確約」
    「併願確約(東京都の場合は「併願優遇」)」
  2. 当日の入試得点で合否が決まる
    「オープン入試」

上記1の、4つのパターン(「推薦入試」「書類選考」「単願確約」「併願確約(東京都の場合は「併願優遇」)」)では、
願書提出前の12月中旬に中学校と私立高校の間で行われる「事前相談(入試相談)」において、
各高校の成績基準をクリアしていれば原則として合格が内定します。

一方のオープン入試は、内申点は考慮されず、入試得点で合否が決まります。
そのため、「万が一、公立高校に不合格になったときに、併願確約校ではやや物足りない。私立高校をもう1校受けてみたい」という方が、
"第一志望の公立高校"と"私立の併願確約校"の間のレベルにある私立高校を、オープン入試で狙うケースも増えています。

事前相談とは

高校に提出する内申点が決まった12月中旬に、中学校から私立高校へ受験について事前に打診が行われます。
これが「事前相談(入試相談)」で、高校側が定めた内申基準をクリアしていれば合格が内諾されるというものです。
この事前相談は、慶應義塾等の難関校を除く、大半の私立高校で実施されています。
ただし、この事前相談の機会を逃すと、たとえ成績が足りていても受験が難しくなる場合があります。

事前相談の機会を逃すと成績が足りていても志願そのものが難しくなるケース

私立高校の募集要項に記載されている出願期間に願書を出したとしても、
12月の事前相談で合格の内諾を得ていないと、確実に合格できるとは限りません。

例えば法政第二、法政国際の書類選考の場合、12月の事前相談の段階で内申点の高い生徒を上から順に合格としています。
ですから1月になってから志願しても、すでに合格者は定員に達し、受付を実質的に終了していることがほとんどです。

これは慶應系などの難関校やオープン入試などの場合を除き、他の私立高校でもほぼ同様のことが言えます。

事前確約型の入試について

事前確約型入試は、主に内申点によって試験前に合否が決まる入試です。
第一志望が公立の場合と、私立の場合とで、選べる入試の種類が変わります。

公立高校が第一志望の場合

(1) 併願確約

神奈川県の私立高校の場合、学科試験は課されるものの、高校側の提示した併願の基準(※)をクリアしていれば、
学科試験の点数にかかわらず、不合格は原則としてありません。

内申点や欠席日数など。後述(5)の「単願」よりも、基準がやや高い場合が多い。

(2) 併願優遇(東京都)

東京都の場合は、私学間の協定で、併願で「確約」という言葉は使われず、「併願優遇」という表現が使われています。
こちらも神奈川県の併願確約と同じく内申基準があり、「事前相談」が必要です。

この「併願優遇」の制度は、高校により、神奈川県の「併願確約」と同様に運用されているケースもありますが、
高校によって例えば「3教科合計で120点未満は不合格」等の条件がついているケースがあります。

前者と後者の違いは「例外なく確実に入れるか」「場合によっては不合格になるケースがあるか」という点にあります。
後者の場合は入試に向けて過去問等で準備しておいた方がよいでしょう。

(3) 書類選考(併願)

書類選考は調査書等の書類のみで合否が決まります。
学科試験も面接も行わず、出願時に提出する書類のみで選考します。「事前相談」でOKが出れば、合格が約束されます。
筆記試験・面接などを受験しないでよいので、複数の高校を受験する場合は大変便利です。

最近の入試では、ほぼ100%の生徒が併願をとっています。
公立高校入試では、当日、点数がとれなければ、内申点が高くても不合格になるケースが実際にあるからです。

特に上位校の場合は、内申点が130点台(オール5に近い)でも不合格になるケースがありますので、
基本的には私立を併願するのが一般的と考えられます。

私立高校が第一志望の場合

(4) 推薦入試

合格したらその高校に入学することが条件です。
高校側の出す内申点などの基準に到達した上で、12月中旬の「事前相談」で内諾をとれば確実に合格します。
学科試験はなく、面接や作文が課されます。

(5) 単願確約(専願)

合格したらその高校に入学することが前提です。
推薦と違い学科試験はありますが形式的なものです。
「事前相談」で内諾が取れれば、その時点で合格が約束されます。

推薦・単願の違い

どちらも「第一志望が前提」「事前相談で内諾がもらえれば不合格はない」入試で、一部の例外を除いて、実質的な違いはありません。
単願確約で実施される学科試験は、あくまでも形式的なものです。点数にかかわらず、不合格は原則としてありません。

例外は、慶應義塾や早稲田高等学院等の難関校の推薦入試です。
これらの高校で公表される条件は「出願の条件」であって「合格の条件」ではありません。
出願条件をクリアした生徒を対象に改めて選考が行われるというシステムですので、ご注意ください。

オープン入試について

オープン入試とは、内申点に関わりなく(「事前相談」を行わず)、当日の入試得点で合否を判定する実力勝負の入試です。
開成や慶應・早稲田系の附属などの難関校以外にも、県内の多くの高校がオープン入試を行ったり、
あるいは定員の中に「オープン枠」を設けています。

2024年度
神奈川県内でオープン入試を
実施している主な私立高校

共:共学校 / 男:男子校 / 女:女子校 / 別:別学校

表は横にスクロールしてご覧ください

高校名 - 試験日 募集人数 選考方法
麻布大学附属 2/10・11 200名
(併願含む)
英数国+面接
アレセイア湘南 2/12 20名 英数国+面接
鎌倉学園 2/11 20名 英数国
鎌倉女子大学高 2/10・12 125名
(先願・併願含む)
英数国
鵠沼 2/11 15名 英数国+面接
慶應義塾 2/10(1次) 約330名 英数国
2/13(2次) 面接
光明相模原 2/12 220名
(専願・併願含む)
英数国+面接
相模女子大高 2/10 135名
(単願・併願含む)
英数国+面接
湘南工科大学附属 2/10・12 315名
(専願・併願含む)
英数国+面接
中央大学附属横浜 2/12 40名 英数国
桐蔭学園 2/11 460名
(併願含む)
英数国
桐光学園 2/10・12 男子100名・女子40名
(10日・12日の合計)
英数国
藤嶺学園藤沢 2/11 90名
(併願含む)
英数国+面接(英国 or 英数を重視)
日本女子大附属 2/10 約65名
(専願含む)
英数国+面接
日本大学高 2/10・12 160名
(併願含む)
英数国
藤沢翔陵 2/11 145名
(専願・併願含む)
英数国+面接
法政大学国際 2/12 50名 英数国
法政大学第二 2/11 男子50名・女子50名 英数国
山手学院 2/10・12 60名
(専願・併願含む)
英数国+面接
横須賀学院 2/10・12 10名 英数国
横浜 2/12 50名 [英国または英数]+面接
横浜商科大学高 2/10 390名
(専願・併願含む)
英数国+面接
横浜翠陵 2/12 5名 英数国+面接
横浜創英 2/11 115名 英数国
横浜隼人 2/10 183名
(併願含む)
英数国(国際語科は、英国)

オープン入試を受ける理由

(1) 内申点は高くないが、実力には自信がある場合

実技科目の成績が低いなど、「内申点はそれほど高くないものの、実力勝負なら自信がある」
「せっかくの入試なので、自分の力をぶつけてみたい」という場合。

(2) 本当は推薦で進学したかったが内申点が基準に満たなかった場合

たとえ内申基準に満たなくても当日の入試で高得点をマークすれば合格することができます。
「内申基準に達していないからオープンで受けても無理なのでは…」とあきらめる必要は一切ありません。

(3) 志望する高校に「推薦」や「併願」の枠がない場合

慶應・早稲田系の難関私立やMARCH系の付属校などの場合、
内申点での合格は確約されませんので、基本的にオープン入試で受験することになります。
もちろん、合格する保証はありませんので、他の私立高校を併願確約でおさえた上での受験を推奨しています。

「併願確約」をとった上で、併願確約のない入試当日勝負のオープン型入試を受け、そちらに合格した場合に進学するのはまったく問題ありません。

入試種別による対策

事前確約型入試への対策

内申点UP

事前確約型の私立高校は、内申点による判定をしているので、公立受験生以上に内申点アップに取り組むことが「合格の最短コース」です。

難関校オープン入試への対策

早期の志望校対策

国立高校、慶應系、早稲田系、MARCHの付属校などの一般入試の場合は、入試得点での勝負となり、
慶應系は高校生レベルの英語力が必要など、それぞれの学校で特徴があります。
これらの高校を目指す場合は、できれば中3の夏休み前から難関国私立高校向けの勉強をスタートさせる必要があります。
その場合は、Hi-STEPの講習等への参加をおすすめいたします。

Hi-STEPの特長

試験日程の組み立ても重要

オープン入試は日程が重ならなければ何校でも受験できますが、
神奈川・東京の私立高校の入試日は2月10日から12日までの3日間にほぼ集中していますから、
オープン入試で受験できるのは、実際には多くても2~3校です。
したがって、受験スケジュールの組み立ても大切な要素となります。